騒音規制法とは?
騒音に関する法律を知ろう!

騒音の基礎知識

工場や事業場、建設作業ではどうしても騒音が発生してしまいます。

しかし騒音に関する地方公共団体への苦情件数は近年高い水準で横ばい傾向にあり、その中でも建設作業から発生する騒音の苦情が最も多く、全体の60%にもなります。

それらの騒音に対して「騒音規制法」という法律が定められています。

今回は、騒音規制法の内容や基準、罰則などについて解説していきます。

目次

騒音規制法とは

騒音規制法とは工場や事業場、建設作業から発生する騒音を規制する法律です。

加えて、自動車騒音、深夜騒音にも許容限度を設けています。

人々の生活環境を保全し健康を保護する為に昭和43年に制定されました。
 
内容は下記4つに分けられます。


 ① 工場・事業場騒音 
 ② 建設作業騒音  
 ③ 自動車騒音  
 ④ 深夜騒音等
 


騒音規制法では都道府県知事、市長・特別区長が騒音について規制する地域を
指定(指定地域)しており、規制対象ごとに異なった規制基準が定められています。

届出義務もあり、怠った場合には罰則を受ける可能性もあります。

今回は上記の①工場・事業場騒音、②建設作業騒音 を詳しく見ていきましょう。

騒音規制法 ① 特定工場・事業場騒音

指定地域内で特定施設を設置している工場・事業場から発生する騒音を規制しており、
著しい騒音を発生する施設が特定施設として定められています。

具体的には、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。以下「都道府県知事等」という。)が騒音について規制する地域を指定するとともに、環境大臣が定める基準の範囲内において時間及び区域の区分ごとの規制基準を定め、市町村長が規制対象となる特定施設等に関し、必要に応じて改善勧告等を行います。


【 特定施設とは 】
特定施設は、製造系の業種で用いられる以下11種類の大きな音の出る機械を指しています。
 
 1  金属加工機械
 2  空気圧縮機/送風機
   (原動機の定格出力が7.5kW以上)
 3  破砕機/摩砕機/ふるい及び分級機
   (土石または鉱物用、原動機の定格出力が7.5kW以上)
 4  織機(原動機を用いるもの)
 5  建設用資材製造機械
 6  穀物用製粉機
   (ロール式、原動機の定格出力が7.5kW以上)
 7  刻材加工機械
 8  抄紙機
 9  印刷機械(原動機を用いるもの)
 10  合成樹脂用射出成形機
 11  鋳型造型機(ジョルト式)
 


【 騒音の大きさや作業時間 】
 さらに4つの区域で騒音の大きさや作業時間が定められています。
区域 / 時間

朝・夕
夜間
第1種区域
45~50 デシベル
40~45 デシベル
40~45 デシベル
第2種区域
50~60 デシベル
45~50 デシベル
40~50 デシベル
第3種区域
60~65 デシベル
55~65 デシベル
50~55 デシベル
第4種区域
65~70 デシベル
60~70 デシベル
55~65 デシベル

【 区域の定義 】
第1種区域 良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域
第2種区域
住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
第3種区域
住居の用にあわせて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を保全するため、騒音の発生を防止する必要がある区域
第4種区域
主として工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい騒音の発生を防止する必要がある区域

騒音規制法 ② 建設作業騒音

指定地域内で行われる建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音を発生させる建設作業を特定建設作業として定めています。
 
具体的には、工場騒音と同様に都道府県知事等が規制地域を指定するとともに、環境大臣が騒音の大きさ、作業時間帯、日数、曜日等の基準を定めており、市町村長は規制対象となる特定建設作業に関し、必要に応じて改善勧告等を行います。


【 特定建設作業とは 】
 
 1  杭打機などを使用する作業
 2  びょう打機を使用する作業
 3  さく岩機を使用する作業
 4  空気圧縮機を使用する作業
 5  コンクリートプラント
   又はアスファルトプラントを設けて行う作業
 6  バックホウを使用する作業
 7  トラクターショベル
 8  ブルトーザー
 

※作業内容及び原動機の定格出力により、騒音規制法の規制対象にならない場合もあります。
 
【 騒音の大きさや作業時間 】
規制の種類・区域
第1号区域
第2号区域
騒音の大きさ
敷地境界において85デシベルを超えない事
作業時間帯
午後7時~午前7時に
行われない事
午後10時~午前6時に
行われない事
連続6日以内
作業日
日曜日、その他の休日でないこと

【 区域の定義 】
第1号区域
良好な住居環境を守るため、特に静かな環境を必要とする区域
第2号区域
指定地域のうち、第1号区域以外の区域

騒音規制法の罰則


騒音規制法に違反すると、懲役や罰金が科せられる場合があります。
主に、届出の怠りや不備、改善命令に従わないといったケースが該当します。
 
 
 【 届出の期日 】

(1) 工場や事業場

指定地域内で工場や事業所内に特定施設を設置する場合、市町村長に届出なければなりません。期限は、設置工事開始の30日前までです。(第6条)


(2) 建設工事作業

特定建設作業では、作業開始日の7日前までに市区町村長への届出が必要です(第14条)



【 改善命令違反・届出不備による罰則 】
 
(1) 工場や事業場からの騒音規制に違反した場合

工場や事業場が改善命令に反して基準値以上の騒音を立て続けた場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます(騒音規制法第29条)。

その他、無届または虚偽の届出に対しては5万円以下の罰金(騒音規制法第30条)、報告・検査に誠実に応じない場合は3万円以下の罰金(騒音規制法第31条)にそれぞれ処すとの定めもあります。



(2) 建設工事作業による騒音規制に違反した場合

建設工事作業で改善命令に反して基準値以上の騒音を立て続けたケースでは、懲役に処されることはなく、科されるのは5万円以下の罰金です(騒音規制法第30条)。

その他、無届または虚偽の届出、報告・検査に誠実に応じない場合は、共通で3万円以下の罰金に処すと定められています(騒音規制法第31条)。

まとめ

いかがでしたか?

今回は騒音の中でも工場・建設現場に絞ってその騒音規制法の基準に触れました。

基準の数値や規制値は各地方自治体によって異なるので、詳細な数値に関しては該当の市町村や
特別区に問合せが必要です。

届出を怠ると罰則が科せられる場合もありますし、なにより周辺住民の生活環境や健康を守るためにも騒音対策が重要です。
 
きちんとした騒音対策を実施していることは企業価値向上にもつながるところなので、ぜひ数値も意識した騒音対策をご検討してみてください。


※この記事は2023年6月30日時点の法令等に基づいて作成されています。
 

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